
本当の「強み」がある商品の作り方
前回はペルソナについて話をしました。
対象顧客のまだ世の中に顕在化していない、見えそうで見えない不(インサイト)を
捉えることが売れる商品を作るために必要という話をしました。
今回は本当の「強み」がある商品の作り方です。
自社の強みはなにか?そんなテーマで社内ブレストをしてみると
■商品の質が高い
■小回りが利く
■自社工場がある
■丁寧な接客ができる
■迅速な納品が可能 など
こうした意見が多く挙がると思います。
もちろん、これらはとても大切です。
しかし、それだけでは「強み」としてお客様に選ばれる理由にはなりにくい傾向があります。
本当の意味での強みとは、
「できること」を「勝てること」に変換することで初めて生まれます。
では「勝てること」とはなにか?
それは、自社にはできて、競合にはできず(または弱く)、そして顧客が求めていること。
この3つが重なった領域こそが、タイトルにもある「本当の強み」になります。
本当の強みを見出すためには、まず競合を正しく捉えることが重要です。
その競合は大きく分けて2種類あります。
●プロダクト競合
これは「同じ土俵」の中での比較です。
Tシャツでとらえてみた時に2種類に分類ができます。
アイテム競合:Tシャツ vs Tシャツ
カテゴリ競合:Tシャツ vs ポロシャツ・リネンシャツなど
このなかで選ばれるには、品質や価格だけでは不十分。
顧客の悩みや価値観に、どう応えられるか?
という視点が必要です。
たとえば──
「汗ジミが目立たない素材で、安心して着られる」
「毎日着てもラクで、洗濯しても型崩れしない」など、
心の奥にある“理由”に寄り添えるかがカギになります。
●ソリューション競合
目的は同じでも手段が異なる競合です。
たとえば「夏を快適に過ごしたい」というニーズに対して、
Tシャツの他にも以下のような手段が存在します。
冷感インナー、空調服、ボディシート・スプレー、携帯扇風機…
このように「顧客が欲しいのはTシャツ」ではなく、
快適さや安心感である場合、
その目的を満たすあらゆる手段が競合になります。
競合を設定したら、自社のできることから本当の強みを見つけます。
専門用語でUSP(Unique Selling Proposition)と呼びます。
USPには大きく2つのタイプがあります。
■ ユニークベネフィットUSP
他では真似できない、唯一の価値です。
例:「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」「世界で唯一の繊維素材を使用したTシャツ」
■ アドバンテージUSP
他よりも優れていることを証明するUSPで、さらに3つに分類できます。
1.リーズンUSP(理由):なぜ優れているのか?を伝える
例:「独自の縫製により型崩れしにくい」
「繊維の段階で消臭加工をしており、長持ちする効果」
2.レビューUSP:信頼できる第三者評価
例:「有名雑誌でベストバイに選出」
「購入者の満足度が95%」
「著名人やプロが愛用」
3.エクストラUSP:商品の本質以外の魅力
例:「数量限定カラー」「ブランドとのコラボ」「ギフト包装付き」
※ただし、エクストラUSPはプロモーション要素が強いため、補足的な位置づけです。
強みのある商品を作るには、「なぜ優れているのか?」「何が唯一なのか?」を
自社のできることと競合を比べて、丁寧にUSPを設計することが大切です。
次回は商品コンセプトについて共有させていただきます。
だんだんと具体化フェーズに入ってきましたので次回もお愉しみにしていてください。