2016年ファッションマーケティングキーワード 10

2016年ファッションマーケティングキーワード 10

2017年ファッションマーケティングキーワードと合わせてお読みください。

Planning Office LAGOON 淺野 健一の独断と偏見 編

 

Ⅰ マーケット拡大 キーワード

1、ITとAI(人工知能)の進化

2、グローバル

3、高齢化

 

Ⅱ マーケット対応 キーワード

4、女性の社会進出

5、二極化社会

6、コンプライアンス

 

Ⅲ ファッションビジネス キーワード

7、専門化

8、ECの拡大

9、トレンド不在の時代

 

10、ブランド化

 

 

 

Ⅰ マーケット拡大 キーワード

1、ITとAI(人工知能)の進化

① ウェアラブルデバイス

スマートフォンの次なる革命はウェアラブルデバイスが起こします。その採用は未来的なファッションを創造します。腕時計はAPPLEから。リストバンドはNIKEが、メガネはJINSのMEMEやメガネスーパーが参入。衣服はデサントのGOLDWIN。MIMOはベビー関連で。コンタクトレンズはノバルティスファーマによる開発中とか。このITとAIを活用した新しい情報インフラがこれまでにない、新概念のファッションマーケットを創ります。

 

② 『データーは新しい石油』

と、たとえられるように[ビックデーターの活用]とまで言わなくても、身近

なPOSデーターの情報化とその活用が提案型MDをバックアックします。

まず目の前にある自社データーの見直しがO2Oやオムニチャネルへの入り

口となり次へのIT対応を加速させます。ファーストリテイリングが昨年

6月にデーター分析会社を設立し、リアル店舗とバーチャルの融合の実験を始めました。この1月より都内での即日配達を実現するそうです。アマゾンのファッション特化版ですね。

http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1506/16/news059.html

 

③ ロケーションフリー

つい数年前まで、中国で生産されるものは軒並み、価格競争の渦に巻き込まれて値崩れを起こしました。今年はIT化や安価なAIが給与計算やプログラミング、コールセンターといったサービス業務がアウトソーシングの受け皿となり、日本でも言語の壁が無い、パターンメイキングやルーチン的なCG作業が世界各地での代替が進みます。また、育児に忙しい女性の社会進出をバックアップします。

 

 

2、グローバル

① 中国の景気動向

バブルが弾けた時はリーマンショックより巨大と予想されますが、中国は社会主義の政府経済なので公共投資などで短期的は何かと手を打ち、今年度は弾けず、やり過ごしてしまうと思います。(外れたらごめんなさい)通貨、元がドルや円などのように国際化し、日本とアメリカが加盟していないAⅠⅠBが本格稼働し(淺野は少し懐疑的?) アジアの経済と中国の関係が深くなってからは心配です。ファッション関連産業ではユニクロ、MUJIを除いて主に国内のローカル産業ですから、今後も生産地の確保などの動向に注目していく必要が有るでしょう。(車、建築などは大変です)

 

② 国内の縫製工場

中国景気が悪くなっても中国国民の給与は下げられません。よって、国内の縫製工場での生産は中国人からミャンマー人など代わっています。この流れは当分変わらないでしょう。国内の縫製を50%まで引きあげる方針が安倍内閣から出されましたが衣料品以外の付加価値の高い、例えば医療関連商品への縫製へ、シフトすることも重要です。

 

③ インバウンド特需

中国からのはお客様は増加しますが、爆買いは終わるかもしれません。*1

しかし、観光庁の日本版DMOに注目する必要が有ります。ファッションも

この繊維業界のみで活動するのではなく、観光、伝統文化、食などとの連携も考慮し、総合的に付加価値をためる時が来ています。

http://www.mlit.go.jp/kankocho/page04_000048.html

*1 中国銀聯から、中国外貨管理局の最新の要求としてマネーロンダリングの排除、金融市場の危機を未然に防ぐという観点から、中国で発行された人民元銀聯カードの海外においての現金引き出しに関し、これまでの1日1万元を超えないという規定以外に、年間の限度額を設定する。具体的には2016年1月1日より、中国発行人民元銀聯カードは海外での現金引き出し金額に関し、カード当たり毎年1年間で10万元を超える事はできない。

 

 

3、高齢化

① 富裕層と下流層の二極化

60歳から80歳までのセカンドライフの20年。団塊の世代の本格的な定年。その下層のDC世代が今まさに定年期を迎えています。公的年金の平均は厚生年金で約14万8000円。国民年金で約5万5000円。厳しいです。しかも、これから毎年減ってきます。しかし、生活費は夫婦で約25万円。単身で約15万円かかるのです。支出が収入を越えます。赤字です。しかし、公務員や大企業の社員は企業年金(月額30万位)や退職金(2000万円以上)が有り、こちらは比較的リッチです。日本からは中流の高齢者は消え、リッチ老人とプア老人の二極化が現実です。ここへのファッション提案はターゲットを明確にしていく必要があります。デパートなどはまさにリッチ老人にターゲットを絞っています。目指せ、本物の拘り商品・ブランドの提案です。しかし、現実には見えない将来の健康が気になり、なかなかお金を使わないのも団塊シニアです。そこで今年しなければならないのが

 

② シニア化する、Hanako族

新シニアマーケット開拓への準備開始です。青春時代にバブルを謳歌した女性達は今でも消費の主役で買い物が活発です。このターゲット層には今主流のユニクロ、ライトオン、スタジオクリップなどのカジュアル&ナチュラルな路線から離れ、エレガント系のテイストが外せません。価格的にも少し、高額な商品構成も必要となってきます。

 

③ 少子化でも

家族が(祖父祖母からを含めて)子供に使うお金は減っていません。そこで子供マーケットへの再考が大切です。ランドセル販売の事例でも、家具屋さんが提供する安価な商品も有りますが都心に高級専門店を構え、三世代消費にアプローチをしているブランドもあります。(個人的には昔、秀月や浅草橋の人形店など、ひな祭り、節句人形を今でいう、ポップアップショップのように開店させ、冬から春にかけて大盛況でした。それを、思い出させます)子供ファッションは『服育』などのテーマで文化の向上、しつけの手段として、これまでにない提案が必要となります。

 

Ⅱ マーケット積極対応 キーワード

4、女性の社会進出

①「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」2016年4月1日施工

これは社員数301人以上の企業は「女性の活躍を推進する自主行動計画」を策定し、採用の男女比、勤務年数の男女差、労働時間、管理職の女性比率などの行動計画を提出。その後、情報公開をしていくことになりそうです。彼女たちが職場でユニホームを着用することは無いでしょう。ここにも新たな市場が出来そうです。(なお、法対応を怠れば、厚生労働大臣による、助言指導、勧告等を受ける可能性があるそうです)

 

② 子育てと仕事の両立

「次世代育成支援対策推進法」が無くなったのではありません。ワークライフバランスも子育てと仕事の両立も、これからの労働人口が減少する日本での問題対応策の一部です。よって、社内の活動に限定しない、在宅勤務選択の余地も「ITの積極的な活用」などで対応を行っていくことになります。

 

5、二極化社会

① 増える生活保護者

上記 1-③の高齢化の所での団塊の世代の格差は全体の各世代でも問題です。ファッションターゲットを決定する時、定量情報を背景としたうえで、商品構成(価格、演出なども)を決定する必要があります。中途半端な提案は厳しいファッションビジネスの世界では生き残り、勝抜くことが出来ない時代です。

 

② ITの普及が差別化を拡大する

もともと資産がある既存のお金持ちは別として、これからの社会格差は学歴ではなく、IT能力が要になると考えます。アルビントフラーの『パワーシフトや第三の波』。また、大前健一の『新・資本論 見えない経済大陸』などで提唱された、知力の時代が実現しつつあります。情報活用の是非が格差の根源となって行きます。このことは個人のライフスタイルや企業のビジネススタイルに大きな影響を及ぼし、ECサイトの設置や積極的な活用が勝ち組を目指すファッションビジネスには不可欠なってきました。

 

③ 勝ち組 団塊ジュニアへ

これからのライフステージで最も所得が伸び、消費意欲が盛り上がる40歳を超える団塊ジュニア。この勝ち組層をターゲットとした、キャリア&コンテポラリーマーケットへの開発。ここでは確かな品質とブランドイメージが大切になります。また、ニッチなこの層のメンズ対応も忘れてはなりません。

 

6、コンプライアンス

① コンプライアンス(法令順守)

昨年は旭化成の杭、東芝の決算、ワーゲンのディーゼルエンジンの誤魔化し。大企業のおごりや社会を無視した慣習は、結局、大きなダメージとして、業績のみならず、企業のブランド価値を低下させました。

 

② ブラック企業

ワタミから端を発した社員を大切にしない企業の存在も世間を騒がせました。

(ブラック大賞は1位、居酒屋庄や 2位、JR西日本 3位、ヤマダ電機) http://blackcorpaward.blogspot.jp/p/blog-page_12.html

これらの行為はそれまで長年積み上げてきた、信頼を一夜で破壊します。

今年、再度総点検し、わが身(社)を正しましょう。

 

③ CSR (Corporate Social Responsibility企業の社会的責任)

CSV(Creating Shared Value 共通価値の創造)

大企業が行っているCSR活動に加え、「ビジネスチャンスの創造」と2011年にマイケルポーターが提唱したCSV戦略を取り入れ、利益と社会貢献の両立する、ステークホルダーへの約束を積極的に展開する必要が有ります。大企業のようにCSRを展開できない、中小、零細企業のファッション企業においても、このCSV戦略は企業・ブランド・商品の差別化を加速させ、モノ余り時代の購買動機向上には大きく貢献することになるでしょう。事例としてカーボンオフセット権を付けたナチュラルブランドやオーガニックコットンブランドの訴求、フェアートレード商品の提案などで信頼を獲得し業績をのばしている企業・ブランドも多く存在します。

 

Ⅲ ファッションビジネス キーワード

7、専門化

① ライフスタイルショップの拡大?

着こなしから、暮らしこなしへ。そして、住まいこなしへのファッションへの対応は、ライフスタイル提案の名のもとに、生活雑貨やカフェ、本や音楽、家電まで取り入れ拡大しています。09年の「ロンハーマン」(サザビーリーグ)の上陸からすでに13店舗の展開(本国のアメリカは3店舗)がされています。リニューアルした上小田井のMOZOも、このライフスタイル店が軒をそろえました。SPA(製造小売業)商品の一部を取り入れ、そこで生産される、一般受けするシンプルなファッション商品群を多彩に演出するためにも、ファッション&インテリア雑貨商品が必要です。しかし、差別化が出来なくなり、また、本家の専門店にはかなわない、中途半端なMDになっています。今のファミリー生活者の感性レベル、情報取集能力は相当に高度になってきています。

 

② 拘りの単品商品の創造

ファッションビジネスを進める時、目先の利益追求もしていかなければなりませんが、洋服作りの原点に戻り、『単品の極め』を再度検討し、拘りの商品を創造し、そして「物づくりへの思いや情熱の物語」を丁寧にお客様へ伝えることが大切です。そのブランドや売り場での中心商材の研究・開発です。グローバーオールのダッフル、モンクレールのダウン、ジョンスメドレーのセーター、婦人パンツのビ―スリー。まだまだあります。朽ち果てることなく、発展する単品の中心商品を持つブランド。原点の物創りをモノ余りの今こそ大切にしなくてはなりません。

 

③ 価格の見直し

デフレマインドが一般化し、『安くて価値ある商品』の提案により単品価格が低下しました。それを補うように、ブランド・店舗からコーディネイト提案を訴求し客単価アップをしてきました。ファッション雑誌もコーディネイト提案が充実しています。結果、長く愛したい商品の存在がなおざりになってきています。また、本来、個性的で有る筈のブランド商品も似たものになってきています。『日本製』のコスト高な生産活動も含めて、改めてモノつくりの拘りと販売価格を検討し、ファッション衣料の提案方法を考える時が来ています。ここに日本製品復活&拡大の鍵が隠されています。

 

8、ECの拡大

① ネットとリアル店舗の融合化が加速

O2Oの「相互送客」からオムニチャネルの「シームレス」へ移行します。商品の受け取りや代金の支払いがいつでも、どこでも好きな場所、時間となり買い物スタイルを変えていきます。またポイントなども連動します。

楽天、ヤフー、アマゾン、価格comは言うに及ばず、昨年11月からスタートしたセブンアンドアイホールディングのセブンイレブンを活用した、御用聞きサイトomni7まで登場し話題に事欠きません。

http://www.omni7.jp/top

 

② ショップスタッフのメディア化

『実店舗のしかも旗艦店の2倍以上の売り上げがネットショップにある』とか。マガシークやゾゾタウン。ナチュラル雑誌と連携したナチュリラ。直営サイトの開発も拡大し続け、ルミネのアイルミネやパルコのカエルパルコなども24時間接客や販促プロモーションと捉え拡大しています。そこでは店舗の販売スタッフ自らのブログを発信。そしてスタッフによる着こなしスナップは最強のコンテンツ。http://staffsnap.jp/ これに加え、スタッフと顧客をつなぐ、接客アプリの登場はLINEやツイッターと同じように気楽にスタッフと顧客のコミュニケーションツールとなります。雑誌のスーパーなファッションモデル、お洒落で選ばれた読者モデルよりも、身近な存在で知識が豊富なショップスタッフのセンススキルが、ブランド評価の要となります。109時代のカリスマ店員の進化版です。

 

 

9、トレンド不在の時代

① デジタル化による多様な情報源

これまでの、マーケットリサーチ、海外のコレクションや各展示会からのファッショントレンド情報、これに追随した多くの日本のファッション雑誌。これらに加え、海外ブランドによるネットプロモーションもデザイナー、エディター、モデルによるSNSやファッションブロガー、ブランド発信のメールマガジンも。ここ数年で情報量は飛躍的に増え、何にどう目を通すかは個人的な主観となってきました。弊社でも年に二回のファッションテイスト、カラー、アイテムのトレンド調査を行っています。確かに傾向は存在します。「ノームコア」「エフォートレス」などのトレンドキーワーは、マイナーチェンジをし続けています。昨年はガウチョパンツやコーデイガンなどのトレンドアイテムも出現しました。今年もワイドパンツなども出て来そうです。しかし、トレンドが希薄な今の時代だからこそ、本物作りが必要です。

 

② 原点回帰の語れる商品開発

デザイナーの主張に賛同者を集めて成り立つ、クリエイターのブランドショップ。オーナーやバイヤーの感性が活かされる、セレクトショップ。現在のファッションやインテリア雑貨も含めた、客単価アップビジネスを主眼に置いた「商品構成開発型」から脱却する必要が有るのでは?8-②の提案でもある様に、ショップが店頭やSNSで商品の特長、思いを物語として、語れる商品が求められます。このことが乱立・激化する、ファッション店の生き残り、発展する道の一つと考えます。これらは大手セレクトショップからだけではなく、地方の独立型セレクトショップにも期待ができ、この名古屋からのこだわり店舗(オーナー)によるEC活用は、地方にありながら全国での展開を可能とします。

 

10、ブランド化

① 日本製の拡大

ブランド化への入り口は安全・安心を継続させて築き上げた、信頼(ブランドコンセプト)です。上記6で紹介のコンプライアンス無視の行動は培ってきたブランド価値を一瞬で破壊します。しかし、多くの企業は真摯に長年かかって積み上げた、日本のモノ創り、『おもてなし』のこころを背景としたサービスは世界に誇る、日本ブランド力の根源です。インバウンド特需の拡大により『信頼がおける日本のモノ創りのこころ』が世界中に広がっています。小さな企業の『日本製ファッション』を海外へ提案するチャンスでもあります。

 

② ブランドは心の中で創られ、育まれる。

これまでの、アルマーニなどの有名クリエイターの作品的商品群。ルイビトンなどの伝統やカシミヤなどの高級差別化素材が創りだす、重厚感あふれる欧州の憧れのブランド群。有名な俳優や錦織圭などスポーツ選手の名前を活用したイメージアップ戦略。これらのブランド手法はこれからも生き続けます。しかし、昨今の情報を多く持つ、知的生活者のこころに響くブランド開発手法として、フェアートレードやオーガニックコットン カーボンオフセットなど人や地球への優しさ・思いを、ブランドコンセプトとした活動は欠かせません。商品作りやサービス提供するとき、未来の子供達や地球環境への思いを表現したブランドは、生活者から長く・深く支持されることになります。新ブランドのビジネスモデルとしても大きな可能性を秘めています。既存の大きな企業・ブランドはCSRにて、これから開発、拡大させる小さな企業はCSV的ブランド戦略。このことは普通の商品でも新しいブランドとしての差別化を創造し、市場に主張して行く事ができます。

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